コロナ後の難民保護

更新日:2021年1月12日

変わらない問題、変わるべき保護

 第2波、第3波や変異型コロナの脅威が日増しに大きくなっている中、コロナ後の世界を語ることはますます非現実的になっているようにも感じます。ですが、「自分語り」を今年のうちに終わりにしておく必要があると思い立ちました。完結編としてお付き合いいただければ幸いです。

 以前、私が人の移動に関心を持つようになったきっかけの一つは欧州統合だというお話をしました。もう一つの大きなきっかけは、なんといっても緒方貞子さんのUNHCRトップへのご就任でした。日本人が国際機関でグローバルな問題解決のために活躍する、ということは当時の青年世代にとって大きな憧れでした(と勝手に思っています)。私もその一人であったわけです。

 しかし、当時はWHOとかOECDとかいろいろな国際機関で働く夢を漠然と見ていたに過ぎないのですが、それが、大学進学後、さまざまな授業を受け、また、欧州統合の進展など国際的な環境の変化を目の当たりにする中で、人の移動へと関心が定まっていったというのが実情です。

 さて、そこで私が思い至ったのは、難民問題(や移民問題)は古くからあるけれど、一向に解決されない、という事実でした。なぜこれだけ多くの人々が難民の悲惨さを訴え、戦争に反対し、弱者に手を差し伸べているにもかかわらず、問題はいつまで経っても解決しないのだろうか?巷では、問題の深刻さを伝えるニュース報道は多いけれど、問題が解決したというニュースはほとんど耳にしません。

 当時若かりし頃、私は、直接難民を助けようとする草の根の努力も大切だけれど、大元の方針が間違っていては、知らない間に間違った支援をしてしまうことになる、と考えました。そして、難民保護の方針を決める一丁目一番地はどこにあるのだろう、と考え、国際機関で働く可能性を踏まえて(実際国連大学で働きましたが)、大学という職場に落ち着いたわけです。

 今現在、その選択が正しかったのかどうか、と聞かれると即答で「イエス」とは言えません。色々青かったなあ、と思うこともしばしば。ただ、数十年(!)経た今言えることは、少なくともこの問題は、一つの社会セクター、一つの職種だけでは絶対に解決できる問題ではない、ということです。

 このことについては、今後も色々とお話をしていきたいと思います。今の時点では、学問の見地からのアプローチについて一言。私は結局国際政治学というディシプリンを選びました。各国間の政治的関係が時としてグローバルな問題の解決につながらないのは何故か、という観点から難民問題を取り扱っています。私のアプローチは極めてプラグマティックです。つまり、難民保護についての理想のあり方と、現実に到達できる領域との境界を明確にするということにいつも注意を払っています。このため、理想を追求する人々からは保守派、あるいは慎重派に見られてしまう時もあるのだと自覚しています。国際政治学の観点からは、現状維持を追認しがちなところもあるので自戒しなければと思っていますが、いわゆる理想論だけでは実際の解決にはつながらない、という観点を常に持ち続けたいと思っています。

 このような立場で、来年以降も研究活動に勤しんでいこうと思っております。みなさま、今年はブログを読んでくださってありがとうございました。どうぞ素敵なクリスマスと良いお年をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。




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