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マイグレーション・スタディーズへの誘い

更新日:2020年11月30日

ようこそ、マイグレーション・スタディーズの世界へ!


このブログでは、マイグレーション=人の越境移動についての様々な研究視角を紹介していこうと思っています。マイグレーション(migration)という言葉には、厳密には「移動」という意味しかなく、渡り鳥を表すときなどにも使う言葉です。ここでは人に限定しますが、それでも多種多様な移動の形態について意見を交換する場であればよいなと思っています。


ところで「スタディーズ」というからには何らかの学問形態があるのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、「人の移動学」「移民学」「難民学」なる学問は地球上のどこにも存在しません。なぜなら、人の越境移動というのは現象あるいは学問が追求する命題であり、それ自体は学問ではないからです。マイグレーション・スタディーズとは、移民や難民などの人の越境移動のあり方を、様々な学問(例えば、法学、経済学、社会学、政治学、人類学、歴史学、医学等)のレンズを通じて評価した成果の「集大成」です。(したがって、ここまで読んでくださった皆さんは、「スタディ」は、「学問」ではなく、「分析」「評価」あるいは「研究」と訳すべきで、かつここで「スタディーズ」と複数形になっている意味がお分かりだろうと思います)。一般に、この作業を研究者が一人で行うのはほぼ不可能です(レオナルド・ダ・ヴィンチでもない限り!)。それぞれの学問領域の専門家が、自らの学問的ツールを用いて分析を行っているというのが現状です。つまり、どんな分析もマイグレーションという人間行動の把握の「一部」でしかないのです。


私自身も、国際関係論(国際政治学)という学問的ツールを用いてマイグレーションを研究している、いわば研究ネットワークの「一部」にすぎません。しかしながら、ブログでは敢えて本業ではできないこと、つまり、専門的領域からしばしば離れて、その分析の「集大成」のあり方について思いを寄せてみたいと思っています。そうすることで、移民や難民についての既存の研究のあり方について、どこにどのような偏りがあるか、それがなぜ問題となるのか、ということを浮き彫りにしたいと思っています。そもそも人はなぜ越境移動をしようとするのか、外国への憧れ、そして母国への愛着という人間の感情はいかに両立するのか、そして国家はなぜそのような人の移動を「管理」しようとするのだろうか、といったような素朴な問いに答えることができる日が来るまで、このブログをのんびりと続けていこうと思っています。






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