アフガニスタン難民受け入れと日本外交

 アフガニスタンからの米軍撤退が進行する中、国内の避難民への対応が国際問題となっています。そもそも、今回のバイデン政権の政策が与党内からさえ痛烈に批判されていることは周知の通りですが、現実として撤退が進む中、タリバーン政権下で身の危険を感じるアフガニスタン人の希望をいかに叶えるかは、重要ですが難しい問題です。昨日、米国はスペイン政府より、同国の南岸にある軍用基地(モロン・デ・ラ・フロンテラとロタ)をアフガニスタンからの避難民用に開放する承諾を得ました。また、イギリス政府も、向こう5年間の間に2万人のアフガニスタン難民を(再定住プログラムを通じて)受け入れる意向を示しました。ところで、バイデン政権による米軍撤退という決断に対しては、イギリスでは、ボリス・ジョンソン首相だけでなく、元首相のトニー・ブレア氏まで「愚かだ(imbeclic)」と批判しています。以前のブログにも書きましたが、難民受け入れや難民発生にかかる政策については、右も左もない、というのが通常の国家のあり方で、それがまた証明された形になります。ともあれ、イギリスにしてみれば、撤退するにせよ、なぜ緻密な計画を立てず、人命に危険が及ぶような方法を選んだのか、と文句の一言も言いたい、というところなのでしょう。

 今般の米国批判は、人権を尊重するはずのバイデン政権が結果としてアフガニスタンの人々の人権どころか生命の危機を生じさせている、というところに尽きると思います。そうであるからこそ、野党だけでなく、与党民主党内からも批判が生まれているのでしょう。一説によると、バイデン政権内では、現時点での軍の撤退後アフガニスタン国内がどのような状況になるか、十分なシミュレーションがされていなかったとか。想定があったにも拘らずそれを無視した、ということになると悪質ですが、私見では、「分からなかった」という弁明の方がもっと悪質に思えます。政治、政策のプロ集団が、その未熟さのために罪のない人々を危険に晒す、ということがあってよいのか。もちろん、「言うは易し」という弁明は分かりますが、極力までそのような弁明をしなくて済むように努力するのが本来の「強い国家」のあり方だと思います。今回の対外決定に至る意思決定プロセスがどのようなものだったのかは今後明らかにされていくものと思われますが、最終的には平和的な解決に向かうような反省となることを望みます。

 当面、必要となるのは国外脱出を試みる人への対応でしょう。日本政府は今こそ、寛容で迅速なアフガニスタン人の受け入れに向けて動くときではないでしょうか。制度改正の必要はなく、また、イギリスのように人数を制限したり、属性をコントロールする(例えば米国との繋がりが深かった人々に限定する、など)こともできるでしょう。それこそ、難民保護の分野でも日本が十分に活躍するチャンスですし、広報の仕方、また米国とのやり取り次第では、米国の対外政策上の失敗を日本がカバーする、という大義名分を果たすこともできるでしょう。「押し付けがましい支援」は、日本人の美徳には沿わないかもしれませんが、外交上の手段として必要なときもあると思われます。既に日本政府は動いているのかもしれませんが、情報発信の仕方にまで気を配り、人道的配慮=外交上の成功につながるよう、尽力されることを期待します。


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